ダバオの街には音楽があふれている。
ダバウェーニョたちも音楽とスポーツをこよなく愛しているのがよくわかる。
ヘッドホンやイヤホンなど耳で聴く音楽に慣れてしまったが、ここダバオには、まだカラダで聴く音楽があふれている。
パーキングスペース
はじめてダバオに行ったときに、最初に連れて行かれたのはライブハウスだった。
比較的早い時間に入り、ステージ近くの正面のテーブルを陣取り、友人のお目当てのアーティスト「デイブレイク」を待つことに。
彼らの出番までは3時間ほどあったが、その間まったく飽きることなく楽しむことができた。
前座?というわけではないだろうけど、他のアーティストたちもそれなりの実力者ぞろいで、そのパフォーマンスに圧倒される。彼らも知名度はあるようで、観客の様子からその人気のほどもうかがえる。
演奏は、オリジナルもあるのかもしれないがどのグループも基本的にカバーが多い。リクエストにも気軽に応えてくれるし、とても身近に感じることができる。
シシグやロミなどのお気に入りを食べながらビールをあおる。バケツ入りのビールがどんどん追加される。
デュオ、ガールズバンドと続き、店内は時間とともに音で温まってくる。
そして、かれらデイブレイクの登場を待つことになる。
デイブレイク
メインディシュともいうべき彼らの人気とパフォーマンスは凄まじく、オンステージとともにハウス内は地響きのような歓声と拍手で沸きかえる。
レーザーが飛び交い、天井の低いハウス内は、音と嬌声と光で爆発する。
フィリピンのことはよく知らないが、ことダバオに関してはライブハウスに限らず音楽がとても近い。しかもイヤホンやヘッドホンの耳で聞く音楽ではなく、迫力あるウーハーをドンと構えたPAスピーカーから繰り出される音、花火のようにカラダで感じる音楽だ。
大音量を響かせるのは屋外型のライブホールでも一緒。日本なら苦情モノかもしれないが、ここでは文句を言うどころか、誰しもが流れてくる音と振動を楽しむ。
街なかにあるショップでも、箱型スピーカーは普通に売られてて、ダバウェーニョたちが楽しそうに店内で音を聴き比べている。
もちろん大音量で。
ホントかどうか知らないが、昔自称オーディオマニアの知人が「最低でも50%以上の出力で音を出さないとホントの質はわからない」などと言っていたが、ダバウェーニョたちはボリュームのつまみをぐいっと回して50%オーバーにする。
20%くらいでも「大丈夫か?」と心配になるところを、彼らはお構いなしだ。3階にあるショップを中心に床が波打つような気がしたが、あれは確かに揺れていたと思う。
カラダで聴く音楽
偏見かもしれないが、高音域がどうの、中域がどうしたなどどうでもいい。
彼らにとっては低音がどれだけ心を揺さぶるかがすべてであるかのように感じる。
まさに音が波動となってぶつかってくる。
油断をすると、その振動で後ろに押されてしまうほどだ。
ドラゴンボールでいうなら悟空のかめはめ波、ヤムチャの気功砲である。
パーキングスペースのデイブレイクは、店内いっぱいの観客にむけて、今夜もすばらしい歌声をのせたかかめはめ波を打ち続けている。