勇気を出して一度トライしてみてほしい
ダバオの街角、特に午後遅くから深夜にかけて
「ペノイー、バロォォォート!…」
と叫ぶ、おなじみの売り子の声が聞こえてくる。
すると、すぐに熱烈なバロットファンや客が屋台や店を取りかこむ、そんな光景が街角のいたるところに現れます。
自分の番が来るのを辛抱強く待ち、大人気のストリートフードをその場で味わう。わずか15~18ペソ、ひとつ20ペソにも満たないバロットは昔から何百万人ものフィリピン人に愛されてきた珍味で、ダバオを訪れることがあったら、ぜひ試してもらいたい庶民の味です。
バロットは孵化途中のアヒルの卵で、まず卵の尖った側の先端を軽くたたいて小さな穴を空けると、薄い紙のような薄皮の中に水分の多い薄い色のスープが見えます。これは卵の羊水のようなもので、それだけでも甘しょっぱい旨味がありますが、岩塩をひとつまみかスパイシーな酢を少量かけるとさらに風味豊かでジューシーな味わいを増します。スープを楽しんだ後は、殻を剥きながらいよいよ中身とのご対面です。はじめての場合はここが一番ハードルが高い。露骨に表現すると、灰色がかった羽毛の頭、くちばし、目、ピンクがかった小さな手足、翼、爪、および静脈が間にあるほぼ発達した胚などの光景は、ちょっとグロテスクで嫌悪感を覚えるかもしれません。
しかし、例えば酔っ払った勢いとか、暗い街角の屋台とか、ハッキリ姿かたちが見えない状態で思い切ってパクついてしまえば、想像以上の食感とおいしさ!軟骨などコリコリした食感が好きな方ならまず間違いなく気にいるはずです。ゆで卵を食べるよりずっとおいしいこと請け合いです。
しかも、少し真面目な話をすると、バロットには、タンパク質、ビタミン、ビタミンA、D、B6、B12、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛、鉄などの高品質の自然の栄養素が実に豊富に含まれていて、健康食品としてだけではなくスタミナを高める精力食品とも見られています。
ただし栄養価が高すぎるので、妊婦さんはちょっと控えたほうがいいという人もいます。
はじめは16日から、でもおすすめは21日モノ
一般に売られているバロットには孵化の経過時間によって16日、18日、21日の3種類があります。16日は産毛のひよこ状態、18日は小さなひよこで、21日となると羽も多くなります。地元の人たちに人気なのは21日みたいですが、初心者は16日がおすすめ。慣れてないと21日はちょっと厳しいかもしれませんね。
バロットの販売スタイルは2種類。1つは屋台で、中にはテーブルや椅子を用意しているところもあるので空いていればダバオのにぎやかな街角で座って食べることができます。もうひとつは自転車に乗った流しの売り子で、呼び止めれば気軽に買うことができます。
ちなみにダバオでは、ドレスコードが必要な高級レストランは別として、一般的な飲食店ならバロットを買ってきて持ち込み飲食も問題ありません。それどころか、お金を渡せば店員が買ってきてくれる店すらあります。(というか、ほとんど買ってきてくれるかな)
バロットがムリでも、ペノイなら大丈夫!
ペノイはバロットと違って無精卵なので、中身は少し変わったゆで卵みたいなもの。孵化途中のアヒルはいないのでハードルは低いですね。
ちなみに値段はひとつ7~8ペソ程度。ペノイは普通マサバウ(スープ状)とツヨ(ドライ)の2種類があり、マサバウは実際にはスープ状というよりしっとりしたゼリー状、ツヨはほとんど乾燥した状態のものです。
バロットはちょっと…という人は、まずこちらから試してみてはいかがでしょう?